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LGBTIQの平等な権利、遅れを取り戻すスイス

スイスが同性愛者の平等な権利に向かって決定的な一歩を踏み出した2021年9月26日は歴史的な日として人々の記憶に残るだろう。この日の国民投票で、有権者の64%という圧倒的多数が同性婚の合法化案に賛成票を投じた。スイスはついに他の欧州諸国に追いついた。

このコンテンツは 2021/10/05 09:30
Paula Troxler (illustration)

スイスでは今後、男性同士や女性同士が結婚し、家庭を築くことができるようになる。西欧諸国で同性婚を認めていない最後の4カ国の1つだったスイスがついに、この重大な社会の変化を圧倒的多数で可決した。

有権者の64.1%が、同性カップルの結婚を合法化する民法改正案他のサイトへに賛成した。連邦議会が昨年12月に可決した法改正案「全ての人に結婚の自由を」に反対するレファレンダムを保守右派とプロテスタント系の議員らが提起し、国民投票に持ち込まれることになった。

07年以降、ゲイやレズビアンは「パートナーシップ制度」に登録できるようになった。しかし、この制度では異性婚の夫婦と同様の権利は与えられなかった。

改正法が2022年7月に施行されると、同性カップルは結婚、養子縁組、簡易帰化手続きの申請ができるようになる。また、結婚した女性カップルがスイスで精子の提供を受けられる。スイスの法律は匿名の精子提供を禁止しているため、子供は18歳になると提供者の身元を知ることができる。この場合、女性は2人共、子供が生まれた瞬間から母親として認められる。一方、外国の精子バンクを利用すると、母親として認められるのは生みの母だけだ。

法改正案の可決により、スイスはオープンな姿勢を示した。国民投票の前は遅れを取っていたが、レズビアンのカップルに生殖補助医療を国内で受ける権利を認めることで、一部の近隣諸国の先を行く。

これらの新たな権利を獲得するために、同性愛者の権利擁護団体は40年にわたり戦わなければならなかった。団体の要求はいつも超保守的なキリスト教徒の反対に遭ってきたが、伝統的なキリスト教会はかつて政界よりも開かれていた。

スイスの同性カップルが築いた数千の「レインボーファミリー」は同性婚の合法化を待ち望んでいた。法律のより手厚い保護を受けられるようになるからだ。

LGBTIQ(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、インターセックス、クィア)の関係者は20年2月9日、すでに連邦レベルの国民投票で大きな勝利を収めていた。有権者は、人種差別と同様に性的指向に基づく差別を刑事罰の対象とする法案を可決した。

しかし、スイス国内外の専門家は、性的少数者の平等な権利を実現するまでにはまだ課題が多いと指摘する。

同性婚合法化案は遺族年金に関する不平等も明らかにした。今後は、配偶者を亡くしたレズビアンの女性にも遺族年金の受給権が与えられる。だが、男性カップルにその権利はない。連邦議会は全ての人が平等な立場に立てる解決策を模索している。

だが、社会で同性愛の受容が進んでいるにもかかわらず、スイスには依然として同性愛嫌悪(ホモフォビア)の問題がある。性的指向や性自認に基づく差別、暴言、暴力がまだ一部の人々の行く手を阻んでいる。

暴力や差別、ジェンダー、平等の問題を専門とするキャロリン・ダイエールさんは「ホモフォビアやトランスフォビアが特別なのは、自分の家族からも差別を受ける恐れがある点だ」と説明する

さらに、一部の超保守派の宗教団体は性的少数者に対してまだ不寛容であり、性的志向を矯正する「転向療法」を行うことがある。

近年、同性愛嫌悪と戦う活動が学校教育の現場を中心として行われている。ベルン州を中心に活動する団体ABQ他のサイトへのように、民間がボランティアで取り組んでいるケースが多い。

(仏語からの翻訳・江藤真理)

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