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スイスの高い物価、犯人はメーカー?小売?

スイスでは同じブランドの衣料品や化粧品が周辺国に比べてとても高い。中には半額セールでようやく周辺国並みの値段になる場合も © Keystone / Salvatore Di Nolfi

スイスの消費者の多くは高すぎる物価に腹を立てている。だが批判の矛先はメーカーと小売業者の間を往復し宙に浮くばかりだ。

このコンテンツは 2019/05/23 11:00
SRF,Denise Schmutz, SRF/swissinfo.ch

例えば米ファッションブランド・エスプリのストレッチジーンズ。スイスでは約100フランと、お隣のドイツよりも47%高い。H&M(スウェーデン)のトレンチコートはドイツより26%高い。

スイスの消費者保護基金他のサイトへのプリスカ・ビルラー・ハイモ理事長は、「この二つの事例は、スイスではスイス人の高い購買力が吸い上げられている実態を如実に示す」と指摘する。スイスの消費者は割引価格ならぬ「スイス割増」で買わされているという。

スイス(フラン)ドイツ(フラン換算)スイス価格:ドイツ価格比
トレンチコート(H&M)99.9579.561.26
ストレッチジーンズ(エスプリ)99.9068.201.46
アイフォーンX(アップル)1134.951232.000.92
ニンテンドースイッチ(任天堂)335.00381.800.88
ボディウォッシュ(ニベア)2.401.531.57
シャンプー(ロレアル)4.904.481.09
(注)消費者保護基金調べ。ドイツ価格は3月中旬の為替相場(1ユーロ=1.136フラン)で換算。セール品ではない通常価格、消費税を含む。

アパレルチェーンのH&Mやエスプリは、価格差の原因はとりわけ人件費や賃料など国ごとの経営コストの差だと説明した。H&Mはまた消費税や為替相場にも起因すると話した。

家電は例外

こうした説明に対し、ビルラー・ハイモ氏は論拠が薄いと切り捨てる。経営コストは販売価格のごく一部でしかない。加えてスイスで家庭用電気機器だけは外国よりも安い。つまり、高い費用は高い価格の理由として説明不足ということだ。

アパレルチェーンは「市場競争力」も考慮に入れていると説明した。言い換えれば、スイスのライバル企業がもっと高い価格で売っていれば、それに追随するということだ。

消費財も割高

シャンプー・石鹸などの消費財もスイスと周辺国との価格差は大きい。ニベアのボディウォッシュ「クリームソフト」は、スイスではドイツより57%高い値段で売られている。仏ロレアルのシャンプーはドイツ価格を16%上回る。

消費者保護基金は、価格差はメーカーの価格支配力に起因すると指摘する。「メーカーは流通経路を管理し、スイスの小売業者の仕入れ先を特定の卸業者に限定して、高い価格で仕入れさせている」。外国の安い卸業者から輸入する「並行輸入」を防ぐための手立てだ。

米消費財メーカーのプロクター・アンド・ギャンブルは、こう説明する。「人件費など現地の費用が異なるため、販売価格も異なる場合がある。スイスでの購買力の高さが悪用されているわけではなく、最終的な小売価格は小売業者の判断で決定される」

ニベア製品を生産する独バイヤスドルフも、値決めの責任は小売業者にあると投げ返した。

小売業者の声

小売業者は反対に、高い販売価格の原因はメーカー側にあると説明する。国外での販売価格自体が高いことが多いという。

スイスのスーパー大手ミグロやコープは、調達価格はメーカー側が決定する。常日頃メーカーと価格引き下げを交渉し、希望する値下げが実現しなければ仕入れ中止や並行輸入といったカードもちらつかせる。

いずれにせよ、スイスの消費者は今後も高い価格で買い物をしなければならないようだ。スイス人が高い購買力を保つ限り、メーカーも小売もそれを吸い上げる道を見つけ出す。並行輸入が可能になったとしても、浮いた利ざやを小売業者が消費者に還元する義務はどこにもない。


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