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核兵器の惨状を伝える国連の原爆資料展 今後も継続

1945年8月9日、長崎市への原子爆弾投下に伴って発生したキノコ雲。7万3千人以上が死亡した Keystone / Nagasaki Atomic Bomb Museum

外交官が行き交う国連ジュネーブ事務局のE棟入り口の左手には、原爆の生々しさを垣間見ることができる空間がある。展示されている広島や長崎からきた原爆資料は、展示期限を10年後に更新したばかり。そこには、核兵器廃絶に向けた切実な思いが託されている。

このコンテンツは 2021/08/17 16:30

軍縮会議が行われるジュネーブの国連では、10年前から原爆の悲惨さを如実に語る資料を常設展示している。原爆によって一瞬で焦土となった風景の写真のパネル。爆心地のそばにあって、原型をとどめないほどに崩壊した浦上天主堂の外壁の一部。原爆の熱線でどろどろに溶融したガラスや陶磁器の破片。一瞬見ただけでは識別し難い、原爆の脅威を伝える資料だ。

今年8月、広島と長崎では76回目の「原爆の日」を迎えた。広島市の松井一實市長は6日、被爆 76 周年の平和記念式典で、「核兵器廃絶とその先にある世界恒久平和の実現に向け、被爆地長崎、そして思いを同じくする世界の人々と手を取り合い、共に力を尽くすことを誓う」と平和宣言をした。

「日本政府は一刻も早く核兵器禁止条約の締約国となり、核保有国と非保有国の橋渡し役を果たしていただきたい」とも訴えた。長崎の平和宣言も同様で、日本政府へ同条約の議論にオブザーバーとして加わるよう呼びかけた。「長崎を最後の被爆地に」と訴える。

遅々として進まない議論

その一方で、核軍縮の議論は鈍重している。今年1月、核兵器の開発や保有などを禁じる「核兵器禁止条約」が発効した。だが、核保有国は参加しておらず、唯一の被爆国である日本も参加していない。国連のあるスイスも、核兵器禁止条約批准の議論を2021年末に延期し、条約の締結には慎重な姿勢だ。広島と長崎で2発の核爆弾が使われたが、世界には現在1万3400発の核兵器があると言われる。

国連ジュネーブ事務局長のタチアナ・ヴァロヴァヤ氏は、E棟での原爆資料の展示は、核兵器廃絶をめぐる議論に影響を与え続ける意味があると言う。

「この展示は、75年以上前の出来事を思い起こさせるものであり続ける。世界の軍縮の中心地で、核のない世界を目指すジュネーブの国際社会にインスピレーションを与えてくれる」と語った。

国連と日本政府は9日、展示期間をさらに10年間延長することに同意した。

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